東伊豆町
稲取

【細野高原】一気に燃え上がる業火!山焼き体感会2023 参加レポート

2023年2月12日に、稲取の細野高原で山焼きが実施され、その体感ツアーが初開催されました。実際に体感ツアーに参加してきましたので、山焼きの迫力ある映像や写真など交えて、山焼きとは何か、どんな効果があるのか、そして今後の山焼きについてレポートします!

細野高原の山焼きとは?

山焼きとは、細野高原に自生するススキに火を放って、100ヘクタール(おおよそ東京ディズニーランド2個分!)もの広大な土地を文字通り焼くという作業です。
作業には、4つの町内会、消防団、役場の方々が総勢100名ほど参加され、毎年2月の土日に行われています。

「なんでわざわざこんな事をするの?」と私も思っていたのですが、山焼きは細野高原の自然を守る上でも非常に重要な作業だそうです。

山焼きの効果

  • 環境が保たれる。湿原や貴重な植物の保護。
    草原を草原のまま残しておくために、生い茂った木々を燃やして森林化を食い止める事ができる。
    また、年間CO2排出量の250世帯分もの炭素を固定化して根に蓄えるという効果もある。
  • 新しい草の芽吹きが良くなる。
    焼き払った草木が栄養になって、春に採れるわらびなどの山菜の生育が良くなる。

山焼きはなんと、江戸時代から毎年続いているんだとか…!
しかし最近では管理者の高齢化や後継者不足といった問題から、山焼きをする範囲も狭くせざるを得ないという状況だそうです。(50年前は現在の4.5倍、450ヘクタールを焼いていたそうです)

山焼き体感会の様子

山焼きは非常に危険が伴うため、体感会の参加者は少し離れたところから見学。それでも立ち昇る炎とパチパチと木々が燃える音は迫力でした。
当日撮影した映像を簡単にまとめましたので、まずは映像でご覧ください!

山焼きは非常に危険なため、体感会の参加者は張ってあるロープから先には入れません。
それでも一気に燃え上がる炎とその熱気は十分に伝わります。

火の近くにいる人の高さと炎の高さを比べると…圧巻。
目の前で一気に燃え上がる炎

山焼きは火を上手にコントロールすることが重要。もし予定外の場所に燃え広がりそうな時に火を消す方法は、こんな木の枝でパタパタと火を叩いて消すそうです。なんとも原始的。
消防団では、水が10〜15リットル入る「ジェットシューター」も用意しているそうですが、100ヘクタールもの広大な場所を、火の広がりと一緒に歩いて移動しなくてはならないので、原始的な火を叩いて消すという方法が理にかなっているとのこと。

火を消すときに使う木の枝

風向きがコロコロ変化!山焼きは風との戦い

山焼きは風の強弱やその向きなどを読みながら作業するのが重要とのことですが、現場にいて感じるのは風向きがわずかな時間でコロコロ変わること。だから、予想していない場所が燃えてしまう事なんかもあるのだとか。

ちなみに、天城山からの風を「ならいの風」、河津町方向からの風を「西の風」、海からの風を「南の風」と呼ぶそうです。

細野高原の風の呼び方

南の風が吹いているなぁと思ったらすぐに西の風になったり、ならいの風が吹いて火が小さくなったなぁと思ったら南の風が吹いて一気に燃え広がったり…山焼きは風との戦いなんだなと実感しました。

山焼きが終わって…

13:00ごろには無事に山焼きが終了。山焼き後には、作業を行った方々だけでなく体感会参加の私たちにも「キンメの味噌汁」や「コーヒー」を振る舞って頂きました。冷え切ってしまった身体に温かい味噌汁が染み渡る…めちゃくちゃ美味しかった!!

温かいキンメの味噌汁が身体に染みるぅ…

そして、山焼きに参加した方々も続々と山を降りてきて集結。こんなに多くの地元の方々が作業をされていたんだなと思うと、この大イベントを見学させてもらえた事に改めて感謝。

山焼き作業に参加された方々(手前の方は見学者ですw)

作業を行った方々が撤収する中、私たち体感会の参加者はジオガイドの藤田さん(最年少ジオガイド!)の引率で、燃えた場所の散策会に出発。
この真っ黒に焼けた大地に、春にはわらびなどの山菜が実り、秋には黄金に輝くすすきが一面に広がるのですから本当に自然の不思議さと力強さを感じます。

最年少ジオガイドの藤田さん

山焼き体験会に込められた想い

「細野高原 山焼き体験会」は、今回参加した2023年のイベントが初めての実施だそうです。これまでは一般の方が入ることはできず、地元の山焼き作業をする方のみが参加できるものだったそうです。
では、なぜ今回一般の見学者を入れたのでしょう?

それは、細野高原が抱える大きな問題が契機になっているとのこと。それは、冒頭でも書いたように「管理者の高齢化や後継者不足」。これは、伊豆稲取だけでなく全国的にも問題ですよね。

だからこそ、東伊豆観光協会では「みんなで運営する細野高原」を目指して様々な活動を行なっていて、その一環として今回の体験会の開催になったのだと思います。

山焼き後の細野高原は「4月のわらび狩り」「8月の湿原、遊歩道の草刈り」「10月の防火線草刈りやすすきイベント」「11月の防火線焼き」など、様々なイベントが続きます。
これらのイベントにも多くの人が集まり、「みんなで運営、みんなで守る」ということが実現できると良いなと思います。

私も4月のわらび狩りに行こうと思いますので、その模様はまたレポートしたいと思います!

細野高原 詳細情報

所在地 静岡県賀茂郡東伊豆町稲取3150-3
アクセス 自家用車の場合
国道135号線稲取温泉「稲取細野高原看板」より車で15分。

電車の場合
伊豆稲取駅より細野高原までタクシーで15分。(料金の目安は片道約1,800円前後)